男の子に起こる尿道下裂ってどんな病気?症状と治療法は?
尿道下裂という病気を聞きなれない方も多いと思います。尿道下裂とは男の子の陰茎の形態異常による先天性の病気であり、時には合併症を伴う場合もあります。
また亀頭部の先端よりも根本側に尿の出口が開口している疾患です。その特徴は、陰茎が下側に向くことが多く、亀頭が露出していることが多いでしょう。
以上のような尿道決裂をおこしてしまった場合でも、より良い生活を送つためには、まず早期発見、早期治療を行うことが大切になっていきます。
そこで今回は、尿道決裂とは何か、その原因や症状、治療方法についてなど、詳しくご紹介していきましょう。
目次
尿道下裂とは具体的にどんな病気なの?その症状とは?
尿道下裂とは、前述でもご紹介した通り、先天性の病気で男の子の陰茎の形態異常のことを言います。
また尿の出口の位置によって、近位型(会陰部型、陰嚢部型)と遠位型(陰茎部型、冠状溝部型、亀頭部型、陰茎陰嚢部型)に分類されます。
軽度の場合は亀頭部手前あたり、重度になると付け根や陰嚢に出口があります。発生頻度は比較的高く、軽度のものを含めると男児300人~500人に一人といわれているそうです。
その症状は尿の出口が正常の位置と異なるため、排尿するときに尿が飛び散ってしまったり、程度によっては立位による排尿が難しいこともあります。また勃起時に陰茎が下向きに曲がって、性行為が困難になる場合もあるでしょう。
そして合併症を併発する事もあり、精巣が陰嚢内に収まらない停留精巣、腸が下がってくるソケイヘルニア、陰嚢の形態異常である二分陰嚢や陰茎前陰嚢などがあります。
尿道下裂の原因は?
しかし尿道下裂の原因は、未だ明確にはわかっていません。ですが、いくつかの理由が考えられます。
妊娠中に受けたホルモンの影響
一つ目は、母親が妊娠9週頃に男性ホルモン(テストステロン)が分泌され始め、その際に陰茎の腹側で尿道がうまくくっつかなかったことや、胎児が作り出すホルモン作用に問題があった、母親が妊娠中に受けたホルモンの影響などが考えられています。
遺伝の可能性
二つ目は、明確な遺伝性はわかっていないですが、父親や兄弟で尿道下裂が認められる場合に、発生することがあります。
性分化疾患
三つ目は、性分化疾患によるものです。性分化疾患によるものは重度の尿道下裂の場合が多く、染色体検査や精巣機能検査を行った方が良いとされています。
このような原因が考えらえるのは尿道下裂の約30%ほどで、約70%は原因は不明といわれています。
尿道下裂の治療法は?どんな目的があるの?
尿道下裂の治療は、手術による形成術となります。手術を行うことで、尿の出口を新しく作り曲がった陰茎を可能な限りまっすぐに治します。
1歳から2歳で行うのが一般的で、亀頭・包皮の発育が十分であれば手術の対象になります。通常年齢の陰茎よりも小さい陰茎は、テストステロン軟膏などで発育を促します。
また手術方法は大きく分けて2種類あり、一度の手術ですべてを行う一期的方法と、前もって陰茎をまっすぐに治したあとに残りの形成術を行う二期的方法に分けられます。
そして手術の工程としては以下のような流れになります。
- 陰茎の屈曲の矯正
- 尿道の延長
- 尿道口の形成
- 亀頭の形成
- 陰茎包皮の形成
尿道下裂の治療目的は、立位による排尿が出来るようになることや、将来の性生活が行えるようにすることです。また精神的な影響が大きい病気なので、影響を緩和することも大きな目的と考えらえるでしょう。
治療後のケア方法は?気を付けなければいけないことは?
術後は、形成した尿道に細径のカテーテルが1~2週間挿入されるため、カテーテルが曲がったり自然に外れたりしないよう、管理には注意が必要です。
しかしカテーテル抜去後の排尿時に痛みを生じることがあるようです。また尿道が狭くなる尿道狭窄がある場合も、排尿時に痛みを伴うことが多いようです。
術後の合併症としては、形成した尿道の途中から穴が開き漏れ出てしまう、亀頭の形が元のように分かれた形に戻る、形成した尿道がせまくなる、などの問題がおこる可能性があります。
その際、再手術が不必要であれば、陰茎の皮膚が回復するまで、半年ほど待つ必要があるでしょう。手術後は、精巣の機能に問題がなく、性交に問題がなければ子どもを作ることも可能になります。
尿道下裂は本人の自覚、精神面に大きな影響を与えるため、手術後も成人に達するまでは長期に渡り経過観察が必要になります。
尿道下裂は早期治療が重要!
尿道下裂は先天性の病気であり、手術での治療は可能ですが、完治は難しいとされています。
しかし尿道下裂は、早期発見、早期治療、成長に合った治療を行うことで、排尿も立位で出来るようになったり、性交も可能となって将来子どもを得ることもできるので安心してください。
そのほかにも、先天性の病気となると家族も不安になりますよね。ですが、当事者の子どもが一番に精神的な不安を感じることが多いので、周囲のサポートが必要になってきます。そのため家族みんなでサポートを心がけてあげましょう。
また年齢や体の発達と共に、手術などの治療を行いながら病気に寄り添っていき、よりよい生活を送っていけるように取り組んでいきましょう。
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