妊娠中は貧血をおこしやすい!?通常の二倍の鉄分が必要な妊婦さんへの最適な摂取方法とは?
貧血症状は妊婦さんにとって大敵というほど、母体に影響を及ぼす症状なのをご存知でしょうか。妊婦さんの3割から4割ほどが貧血症状に悩まされており、ポピュラーな症状として認知されています。
こういった理由から、妊婦健診の際など「鉄分を取ってくださいね」と言われたことのある方もママも多いのではないでしょうか。しかし「鉄分をたくさん取る方法なんてわからない」と困っている方も多いのでは?
そこで今回はなぜ鉄分がそんなに必要なのか、妊娠期間中の貧血について、またどうすれば鉄分を効率的に取れるのかご紹介していきます。
また妊娠中に鉄分を取る時には、注意したい点もいくかあります。危険を回避するためにも、貧血を対処するときに行う安全な鉄分摂取方法を確認していきましょう。
目次
妊娠中はどうして貧血しやすくなるのか?その原因は?
では妊娠すると貧血になりやすい原因について、詳しく見ていきましょう。
血液量の変化
妊娠すると胎児へ送る血流量がアップするため、母体の鉄分が不足してしまうことがあります。その理由として、体内の血液量は出産に備えて妊娠初期から少しずつ増加し、32週頃には最大約1.5倍に増えます。
しかし血流量は増えても鉄が薄くなってしまい、鉄分不足を引きおこします。
全ての成分が同じように増えればいいのですが、赤血球などの血球成分よりも水分の増加量の方が多く、血液量が増加すれば増加するほど薄まってしまうため、貧血傾向になりやすいのです。
また胎児に血流を届けるため、妊娠30週あたりから貧血気味に陥りやすいと言われています。
鉄分が赤ちゃん優先
そして妊娠中は血液中の鉄分が、ママよりも赤ちゃんに優先して使われます。鉄分は酸素や栄養を運ぶ役目をする「ヘモグロビン」の主成分で、通常は、使われずに余った鉄分は肝臓や骨髄に蓄えられていきます。
ですが妊娠してママの血液から赤ちゃんに鉄分を使われ始めると、徐々にその蓄えも足りなくなってしまい貧血の症状が現れます。
妊娠した時の主な貧血症状は?
妊婦さんが注意したい貧血ですが、その症状には自覚がない場合とはっきりと出る場合があります。そのため些細な症状を見逃さないように、注意しておく必要があるでしょう。
そこで主な自覚症状はどんなものがあるのか、以下の項目で紹介していきましょう。
- 全身の倦怠感
- 目眩
- 息切れ
- 動悸
- 原因の分からないイライラといった不快症状
- 原因不明の立ちくらみ
- 集中力の欠如
- 注意散漫
- 体力の消耗
以上のような前兆に気がつかず、無理をしたことが原因となり、突然のめまいでその場に倒れてしまうこともありますよね。妊婦さんは倒れた際に身体を打ってしまうと、お腹の赤ちゃんも心配への影響も心配です。
しかし普段から健康や体力に自信のある人は貧血に気がつきにくいこともあり、重篤な状態まで放置してしまう場合もあるので注意が必要です。また貧血の症状はなんとなく力が湧いてこないといった状況でおこりやすく、見逃してしまいやすい症状でもあります。
そして身体をつくるために必要なタンパク質やビタミン不足を引きおこしている場合もあるので、上記のような症状を防ぐためにも普段の生活で不足しがちな栄養素をしっかりと取り入れるように心がけることが大切です。
貧血を防ぐ対処法はあるの?
胎児への栄養を優先させるために貧血症状も仕方がないことですが、食事から鉄分を補う必要があります。
そこで毎食のメニューにタンパク質を取り入れることが大切です。大豆、卵、お肉、などはタンパク質が豊富な食品とされており、鉄分も含有されています。
主なタンパク質の食事量は、1食分に100gから200gにおさえましょう。高野豆腐などの大豆食品では100gを目処に、肉類では200gを目処におさえます。
タンパク質と一緒にイチゴやオレンジなどの果物などでビタミンを摂取するとより効果的です。
葉酸サプリで貧血予防
しかし食事でタンパク質を摂取し鉄分の不足を補おうとしても、充分な効果が得られるとは限りません。また日ごろから肉類の摂取が少ない日本人の食生活は、欧米よりも鉄分が不足しがちです。
そういった場合に葉酸サプリを併用することで、普段の食生活で不足した鉄分などを補うことが可能になります。葉酸には妊娠中の貧血に効果的なビタミンB群が豊富に含まれているので、症状軽減に繋がっていきます。
そのほかにも妊娠中に必要なビタミンやミネラルも豊富なので、貧血防止はもちろん、ママや赤ちゃんの健康をサポートしてくれますよ。
普段の食生活改善と共に葉酸サプリを取り入れながら、より効果的な貧血予防を目指していきましょう。
鉄分が多く含まれている食材ってどんなもの?
それでは実際に鉄分が多く含まれている食材について、ここでは詳しくご紹介していきましょう。
まず鉄分には肉類や魚介類などに含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻類などに含まれる「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄が多い食材
レバーや牛肉の赤身、まぐろの赤身、牡蠣やあさりやしじみなどの魚介類に多く含まれます。しかし魚介類は生で食べると食中毒の危険性などもあるので、佃煮やみそ汁にいれてきちんと火を通しましょう。
非ヘム鉄が多い食材
青のりやひじきなどの海藻類、小松菜やほうれん草などの葉野菜、切り干し大根や高野豆腐、納豆に含まれます。特に海藻類は含まれている量が多く、カロリーも少ないため体重管理が必要な妊娠中には積極的に取りたいですね。
納豆は鉄分以外の栄養素も多いので、こちらも積極的に取るようにしましょう。
非ヘム鉄の吸収を助けるもの
タンパク質
しらす干しや豆腐(大豆)、いわしの丸干しなど
ビタミンC
ピーマン、パセリ、レモン、アセロラなど
ヘム鉄は体に吸収されやすいのですが、非ヘム鉄は吸収されにくいため、吸収を助けるものと組み合わせて食べると効果的です。
一日どのくらいの量を摂取すればいいの?
しかし鉄分が必要と言っても、摂りすぎてしまうのは良くありません。そこで厚生労働省が推奨している、一日に必要な鉄分の量を確認していきましょう。
妊娠していない女性
必要量 | 推奨量 |
---|---|
8.5mg | 10.5mg |
妊娠初期の女性
18~29歳 | 30~49歳 | |
---|---|---|
必要量 | 7.0mg | 7.5mg |
推奨量 | 8.5mg | 9.0mg |
妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さいので必要とする鉄分の量も少ないです。また妊娠により一時的に月経がなくなるため、通常時よりも少なめに設定されています。
妊娠中期から後期
18~29歳 | 30~49歳 | |
---|---|---|
必要量 | 17.5mg | 18.0mg |
推奨量 | 22.0mg | 21.5mg |
妊娠中期から後期は通常時に比べると、約2倍の鉄分をとるように言われています。それはお腹で赤ちゃんが成長すると胎児に使う鉄分の量も多くなるので、より多く必要になってくるのです。
そこで鉄分が2倍必要なら2倍食べればいいと思いまずが、その吸収量は少ないので食事のみで摂取するのは難しいです。
また妊娠中期から鉄分の多い食事を心掛けても補いきれず不足してしまい、妊婦健診で鉄剤を処方される人も増えてきます。
こうした状況を避けるためにも普段の食事と葉酸サプリを併用すことで、より効果的に必要な栄養を取り入れることが大切です。
鉄分の過剰摂取には気をつけて!
そして鉄分を多く含む食材の中でも、取りすぎてしまうと別の問題を引きおこす栄養素がいくつかあるをご存知でしょうか。
ここでは妊娠中に注意すべき、鉄分が含まれた食材について詳しくご紹介してきましょう。
レバー
ビタミンAが多く含まれており、取りすぎると胎児の「口蓋裂」や「水頭症」などの奇形をまねいてしまう可能性があります。
特に豚や鳥のレバーの場合は含有量が多いため少量でも危険水準の摂取量になってしまいますので、週に1~2回少量を食べる程度にし毎日取るのは控えましょう。
ひじき
実はひじきには猛毒として知られるヒ素が含まれています。とはいってもひじきは妊娠中に必要なカルシウムや鉄分、食物繊維などの成分も豊富に含まれているので、積極的に摂取したい食材の一つです。
そこで調理の方法を工夫することで、含まれているヒ素を取り除くことができます。乾燥ひじきを戻すときに、約60分水に浸しておくだけで、ヒ素の68%が水に溶けだすといわれています。
またその後5分ほど茹でると、さらにヒ素の含有量を減らせることがわかっています。茹で汁には溶けだしたヒ素が含まれているので、必ず捨ててくださいね。
日々の生活習慣を見直しながら貧血予防を心がけよう
女性と貧血は切っても切れない関係にありますが、妊婦さんにとっては胎児を育てるためにおこりやすくなる症状です。
しかし鉄分不足になると、体が疲れやすくなる、めまいをおこす、出産のときに血が止まらなくなる、などの症状が現れる場合があります。まずは鉄分を上手に摂取して、健康な体で赤ちゃんを迎えられるように日頃から気を付けていきたいですね。
また日本では昔から鉄分不足を補うために、調理器具や食器で鉄分を補給するという考えがありました。鉄分を舐めるということもあったようで、それほど不足ちがちな栄養素である鉄分は日頃の食事のみで吸収するのは難しいですよね。
もちろん妊娠中に必要な栄養素は鉄分だけではないので、妊娠時に必要な栄養を補うためにも、普段の食事と併用して葉酸サプリを試してみるのもおすすめですよ。
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