若い人がなりやすい精巣がん(精巣腫瘍)って一体何?妊娠にも影響する?気になる治療法とは?
日本で死因の一番にあげられる「悪性腫瘍」ですが、20~30代の若者だとまだ自分には関係ないと思っている人も多いと思います。
しかし実は若い人だからこそ罹りやすい悪性腫瘍があるのです。精巣腫瘍は若者が罹る悪性腫瘍の中で、最も頻度が高い腫瘍になります。
しかし早期発見、早期治療を行えば、比較的予後はよいと言われています。今回はこの精巣腫瘍について、どのような症状が出るのか、なりやすい要因やなってしまった時の治療法などを紹介します。
目次
精巣ガン(精巣腫瘍)ってどんな病気?
精巣腫瘍とは、精巣にある細胞からできる腫瘍をいいます。精巣は睾丸とも呼ばれ、男性の陰嚢の内部にあり、男性ホルモンを分泌したり、精子を作ったりする働きを担っています。
精巣腫瘍に罹るのは、10万人に1~2人という比較的稀な悪性腫瘍ではありますが、日本では年々増加傾向にあります。
また精巣腫瘍には、特に若者が罹りやすいという特徴があります。
精巣腫瘍の発症年齢は、5歳以下の小児と20~30歳代という若者という2つのピークがあり、20~30歳代の男性では最も罹りやすい悪性腫瘍になります(血液のがんを除いた場合)。
何が原因でおこってしまうの?
精巣腫瘍がおこる原因は、はっきりとは分かっていません。
ただし子どもの頃に「停留精巣」といって、精巣が陰嚢の中まで降りてこず、お腹の中に留まったままになっていた状態だった人は、精巣腫瘍にかかるリスクが高いと言われています。
停留精巣の原因としては、何らかの遺伝的な異常があり、その異常によって精巣腫瘍のリスクが高まっているのではないかと考えられています。
停留精巣は新生児の3~5%と比較的よく見られる疾患のため、子どもの頃に病気を指摘されたことがある方は注意が必要です。
その他の要因として、精巣腫瘍になった人が家族の中にいる場合や、精液検査で異常が見つかったなどの精巣の発育不全がある場合も、精巣腫瘍になるリスクは高いと言われています。
また片方の精巣に腫瘍があった場合、もう片方の精巣に腫瘍が発生する可能性があると言われています。
精巣腫瘍って具体的にどんな症状があられるの?妊娠にも影響する?
精巣腫瘍の主な症状は、精巣が腫れてたり、しこりが出来ることです。
基本的には片側のみに症状が現れます。特に痛みや発熱などは生じないことが多く、中々気が付かないことも少なくありません。
人によっては、陰嚢や肛門などに鈍い痛みや違和感などを感じることもあるようです。また、しこりに気付いていたとしても、若者の場合羞恥心などから中々病院を受診しないことも多いため、発見が遅くなる傾向にあります。
しかし精巣腫瘍は他の臓器に転移しやすいといった特徴があります。そのため発見が遅くなると、病院を受診した時点でリンパ節や肺、肝臓や脳などに転移していることもあります。
また転移した部位によっては、その転移によって症状が出現して病院を受診、精巣腫瘍の存在を知るといった場合もあります。
精巣腫瘍の場合、片側の精巣を手術で取り除くことが多いため、片方の精巣は残ることになります。片方の精巣が残っていれば、造精機能は保つことが出来ます。ただし手術によって射精障害が残ってしまう場合もあります。
また腫瘍の進行状態によっては、化学療法や放射線療法を追加で行う必要があり、その場合は治療の影響で不妊になってしまう可能性もあります。
そのため治療を開始する前に、医師やパートナーとよく相談し、治療方針を考える必要があります。妊娠を希望する場合は、精子を凍結するなどの手段もあるため、よく考えてから治療に臨みましょう。
精巣腫瘍の治療法や改善方法はある?
精巣腫瘍が疑われる場合は、精巣の触診と超音波検査を行い、診断を行います。転移することが多いため、CT検査を行い転移の有無も調べます。採血を行い、腫瘍マーカーの上昇がないかを確認する場合もあります。
精巣腫瘍は進行が早いため、まずは外科的療法(手術)を行うことが多いです。精巣腫瘍に対する手術は、「高位精巣摘除術」といって精巣に加えて精索と呼ばれる精管が束になった管を上方まで取り除く手術が行われます。
また転移している場合や転移の可能性が高い場合は、リンパ節郭清や転移部位の切除を行う場合もあります。
手術によって取り除いた腫瘍を検査し、必要時には術後に化学療法や放射線療法を追加で行う場合もあります。特に精巣腫瘍は化学療法による治療が効果的であり、明らかな転移がなくても、転移や再発の可能性が高い場合は化学療法を行うことが多いです。
早期発見を心がけよう
精巣腫瘍は一度罹ると、進行が早く転移してしまったり、不妊につながる可能性もある病気です。しかし早期発見、早期治療を行うことで、完治することもできる病気です。
もし精巣に腫れやしこり、違和感などを感じている場合は、恥ずかしがらずに一刻も早く泌尿器科を受診するようにしてくださいね。
また精巣腫瘍だと診断された場合は、今後の妊娠のことなども踏まえた上で、よく医師やパートナーと相談して治療方針を決めることが大切です。
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